燕岳山行「雪山の本気」二日目

結果から言えば、相棒の読みは的中!

小屋の扉から出ると昨日は真っ白で何も見えなかった所に、雪のドレスを纏った北アルプスの女王燕岳が薄明かりに照らされ鎮座していました。なんとも妖艶な女王の姿。風はまだ少し吹いていますが雲ひとつない快晴。ここからは、まさに言葉に出来ない風景が続きます。


朝日を纏う艶やかな女王。山頂へ向かう途中に日の出を迎え、ひとしきり写真を撮って頂上を目指します。そして、モルゲンロートに染まる槍ヶ岳を後ろに従え、山頂ではちゃっかりいつものポーズ。ただ、山頂が狭く撮ってくれる人も他にいなかったためダブルサミットポーズは今回は割愛。

小屋に戻る頃には、朝焼けタイムはすっかり終わり、雪と岩のコントラストが凛々しい昼の顔をした女王になっていました。

小屋に戻り、荷物をまとめ、装備を整え、下山です。昨日と同じ道なのですが風景が全く違うため、来た道を戻る退屈さは微塵もありません。空の色、岩の色、木の茶色、雪の白。今日はちょっと賑やかな道を下っていきます。上からみると思っていた以上に雪庇が張り出していてそのギリギリを歩いていたことが分かりちょっと背筋が冷たくなりました。

空へアプローチするような道を闊歩。その姿は空中散歩する気分は天空人。昨日よりちょっと姿を表した合戦小屋を通り、さらに下へ。小屋を越えた辺りから雪はぐしゃぐしゃになり、登山口に近づくにつれ徐々に雪もなくなっていき、登り口の辺りはほとんど雪はありませんでした。心なしか昨日より大きくなった駐車場横の川の音を聞きながら、今回の山行も終りを迎えます。

タイトルにあるように、すでに春になってはいますが、初めての悪天候の中の山行で冬の山の厳しさを少し味わうことが出来ました。今年に入ってから幸いなことに天気に恵まれ、それはそれで気持ちのいい山行をすることが出来ていましたが、心のなかではちょっとうまく行き過ぎているのなぁと思っていたのも事実。雪山にも慣れてきたところで、今回の吹雪を経験できたのはこれからにとって、大きな経験になったと思います。その吹雪の後の絶景。これだからやめられないねと、何度も口にしました。怖いところと良いところ両方をいい具合に体感できたいい山行でした。

それでは次の山で。

燕岳山行「雪山の本気」一日目

4/23-24で長野県は燕岳に行ってきました。読み方は「つばくろだけ」です。つばめちゃいます。

岐阜を五時に出発し、登山口についたが九時頃。家を出たときからずっと雨。登るか微妙なところでしたが、相棒によると二日目の日曜日は松本市は朝方から晴れの予報。前の日雨で次の日快晴なら澄んだ空気と雲海で景色がやばいしょ!ということで、雨をおして登山開始です。この判断が凶と出るか吉とでるか。

とはいえ、登山口辺りの雨はまだそんなに強くなく、カメラを出してもギリギリありなライン。うっかりザックカバーを置いてきてしまったので、中身が濡れないかがちょっと気がかり。よく考えると雨って久々。雨乞岳以来でしょうか。そもそもまだ冬山だと思っていたので、雨対策を失念していました。登山道自体はまだまだ雪が残ってましたが、かなりゆるめ。滑らないよう気をつけながら登って行きます。

時間がたつにつれて、雨も強くなってきました。でも高度が上がるにつれてその雨も雪に換わっていきます。地面は相変わらず柔らかく、時折膝ぐらいまでズボッと埋まることもあります。

なかなか先が見えないなぁと思っていたら、突然小屋の屋根が見えてきました。まだ小屋開きしていない、合戦小屋です。スタッフの方が絶賛準備中で、屋根以外は全て埋まっていました。

ここまで三時間半。夏山のコースタイムより少し遅いぐらい。オープン前の小屋に少し雨宿りをさせてもらい、休憩です。ザックカバーを忘れたため、案の定中までベタベタ。中身を個別に防水していたので大事には至りませんが、よくないですね。

軽く食事を済ませ、小屋の準備をしているお兄さんにここから先はワカンが良いよとアドバイスを受け、早速装着!気合いも入れ直し今日の目的地、燕山荘(えんざんそう)を目指します。

合戦小屋からは斜面を一気に駆け上り、稜線に出ます。ここで世界が一気に変わります。稜線に出たとたん、上から降っていた雪が、横から降り始めます。ものすごい風。吹雪です。視界は50mぐらいでしょうか。目印に立てられて旗が向こう二本ぐらいはなんとか見れるぐらい。想像通り想像以上の天候です。

とにかく風が強い。左側から途切れる事なく吹き続けます。はがされるとよく言われますが、本当に風に地面からはがされそうになります。突風が来た時は重心を低くして耐えます。すぐ横にいても、声が聞こえないぐらいの轟音。よくみると歩いている所のすぐ横が雪庇になっています。トレースと旗があるので、見誤ることはないですが、縁に寄り過ぎると雪庇を踏みぬいて谷底へ落ちてしまいます。顔に当たる雪を手で防ぎながらさらに先へ進みます。

雪山は静かです。雪が音を吸収するからでしょうか、シーンと言う音が聞こえるような静けさがあります。その感覚は不思議な事に吹雪の轟音の中でもかわりません。やっぱりなにか静かです。ただ、町中で急に静かになったときのようなさみしさはない。自然の中は不思議です。相棒のポーズはそんな山の不思議を体現した、、、わけではありませんので、あしからず。

そんなこんなで、燕山荘到着です!

突如と広がる異空間。轟音の中、扉を開けると「おつかれさまでしたー」の一声。白一辺倒だった世界に色彩と暖かさが戻ります。その変わり様にあっけをとられてしまいます。轟音は止んで、人の騒がしさがある静かな空間に景色が変わっていきます。

ヤマケイ社による「行ってよかった山小屋ランキング」全国一位の燕山荘は快適そのものでした。スタッフの人も底なしに温かい。この日はキャンセルもたくさんあったみたいで、オープン初日の週末ということでも宿泊客は十人ほど。小屋自体もお土産のポップを作っていたり、ゆるりとした雰囲気。四人用の場所を二人で使えると言う今までの山小屋でもっとも快適なベッド環境。夕食の後は、食堂横に併設してある図書コーナーのこたつでうとうと。消灯ともに寝床へ移り一日目が終了です。

相棒の読み通り明日は晴れて、絶景を見ることができるのでしょうか。

二日目の様子はこちら