伊吹山山行「山が恋人とは思わないけど、その日は山にいたんだ」クリスマス編

 

赤と緑に彩られた街に居場所はなく、そんなチャラついた街で浮かれる紳士淑女の諸君を見下すべく東海地方の雄、伊吹山へクリスマスに行って来ました。X’masに行って来ました。大事なところなので二回言いました。ちなみに「いぶきさん」ちゃいます「いぶきやま」です。このくだりは二回目ですね。

しかし、そんな我々の行く手を阻むクリスマス寒波!雪コンコン、風ゴーゴーです。岐阜から向かうと垂井町に入った辺りから急に雪の量も増え、周りも道も真っ白け。対向車もいない直進道路で早速のスリップ!ヒヤッとしながらも登山口に到着。あまりの雪深さにしばし呆然としてしまいます。

 

 

辺りもうっすらと明るくなってきた所で、サンタクロースカラーのウェアを纏い、アタック開始です!

トレースから先行者が一人いるのがわかります。おお同士よ!道を照らしてくれる赤鼻のトナカイよ!伊吹山は一合目までは森の中を進んでいきます。雪は降っていますが、ここでは木々が遮ってくれるので、風雪を気にすることなく進んでいくことができます。

意気揚々と森の中を闊歩し、一合目に出た所で意気消沈。朝令暮改で二人の意気はどこかへいってしまい、残ったのは雪と風だけ。視界から一気に彩度が消えます。あたり一面、ゆき、ユキ、雪。

 

 

深い所で腰ぐらい、ワカンを履いてもひざ下ぐらいまで埋まります。そんな雪の中をガシガシ進んでいきます。これが世に言う「ラッセル」というものです。先行しているトナカイさんはソリを引いているのか二本のラインが綺麗に山へ伸びています。(訳:先行者はスキーを履いて登っているようです。)

今回は決めていました。ラッセル泥棒はしないと。先人がつけたトレースをなぞって登ることをラッセル泥棒と言います。(小説「孤高の人」より)なぞっていけば楽なんです。しっかりと踏み固められたトレースを歩くのは夏山を登るよりも遥かに楽です。

でも、楽して登りたいならわざわざこんな日には登りません。世の中のすべてに抵抗するかのように、ひざ下まで敷き詰められた雪の中を二人で代わる代わるラッセルしていきます。ラッセル祭りのはじまりです!

 

 

ここで確認しておきますと、少し濃い赤色のジャケットに、オレンジ色のザックを背負ったのが私で、明るい赤色のジャケットに、赤色のザックを背負ったのが相棒なのですが、そんな微妙な色味がわからないくらいの吹雪になって来ました。雪山に紛れた二人のサンタクロース。道を照らしてくれる赤鼻のトナカイの姿も見えず、プレゼントを待っている子供は何処。

ラッセルをしながらの登山のため時間もかなりかかっています。一合を登るのに約一時間。単純計算で頂上まで十時間。伊吹山は後半が鬼なので、時間は更にかかりそうです。その計算をした時、何かが折れる音が聞こえた気がします。

よし、下山しよう。答えはすぐに出ました。ここにはプレゼントを待っている子供はいないし、そもそも俺たちプレゼントとか持ってない。スニッカーズもさっき食べてしまったよ。

 

 

ということで、三合目で撤退です。前回の蝶ヶ岳に続き連続撤退。今回は悔しさと言うよりはここまで頑張ったからもういいでしょという気持ちが勝っていました。

トレースをなぞると速いという話をしましたが、ラッセルをすると、とてつもなく時間がかかるということも身をもって知ることが出来ました。そしてとても疲れる。冬山は夏山以上に時間にゆとりをもった計画にしておかないといけませんね。雪の状態次第で、時間なんてどれだけでもかかってしまいます。

去年は比較的天気がよく、コンディションもいい雪山山行が多かったので、今回はいろいろと勉強になりました。これだけ雪が振り、風が吹き、気温も低いのにラッセルをしていると汗をかなりかきます。動いている時はいいですが、止まると一瞬で体が冷える。下手をすれば低体温症にもなりかねない状態です。インナーの吸水、速乾性やアウターの透湿性の重要さを感じました。

下山していると、下から登ってくる人とわんさか、すれ違いました。こんな日なのに登っている人の多さに驚きました。街のイルミネーションよりも雪山の派手なジャケットの方が輝いて見えた、そんな2011年のクリスマスのお話でした。

それでは次の山で。

 

 

蝶ヶ岳山行「歩いて歩いて、ちょっと登って、歩いて歩いた」後編

 

冬季閉鎖の看板から10キロを約二時間半で登り(歩き)、三叉登山口に到着!ここからいよいよ山道の始まりです。少し前に降った雪のせいでトレースは全くない状態。そもそもこの時期に入る人が少なそうです。こうなってくるとどれくらい時間がかかるのか想像がつきません。一応山地図では五時間ほどで山頂に着くはず。

 

 

雪はそこまで深くなく、靴が軽く隠れるぐらい。うっすらとトレースらしきものも見え、木の印もしっかりとあるため特に迷う心配はありません。空には青空が覗き、でも周りを山に囲まれているためなかなか太陽は見えません。うっすらと青みがかった雪の中を進んでいきます。

 

 

うっすらと雪が積もった森というのはそれはもう綺麗な存在で、見ていて飽きません。見ていて飽きないんですが、どうもそろそろ決断の時が近づいているようです。中継地点に当たるまめうち平に着いた時点で十二時半。山頂まではここから約二時間半。下山はコースタイムより早く降りれるとは思いますが、それでも三時間はかかる。そこからまた10キロを歩く。二時間以上はかかるでしょう。となると駐車場着は七時を過ぎます。そもそも山に囲まれているこの場所は日が暮れるのが早い。ということは残された道は、、、

撤退。

コース時間が足りなくて撤退というのは実は初めてです。せっかく来たきたしという思いもありますが、冷静に考えて間に合いそうにない。ましてや初めての山、しかも雪山。上の雪の状態がわからないのでコースタイムを信用するわけにもいきません。中途半端に進めば、下山途中で日が暮れる可能性もあります。これはもうお手上げです。

 

 

頂上に行ったらやろうと思っていた「アイアムチョーノ!」ポーズ(蝶ヶ岳だけにね)も少し悲しげです。今度は絶対に頂上でやってやる!まめうち平付近は眺めが良くて、少し心が救われます。

潔く下山し、雪の少し溶けた道を10キロほど歩いて、無事車へ到着。実際10キロを歩いていた四時ぐらいにはすでに暗くなり始めていました。西側に山がそびえているので日が暮れるのがほんとうに早い。今回は天気が良かったのでまたいいのでしょうが、曇っていたりしたら三時ぐらいからもう暗くなっていそうな雰囲気です。行きはまだ良かったのですが、疲れた体で下りのアスファルトの道を10キロ歩くのはなかなかの苦行でした。底が硬いので衝撃が体に直に来ます。そのせいか妙に肩が痛い。もしこの工程をもう一度やるのであればせめてこの区間用の靴が別で欲しいですね。

結果として判断に間違いはなかったと思いますが、あるとしたら事前の調査が甘かった。登山口に二時間半かかった段階で登頂は怪しいなと思っていたのでこの結果は予想できていましたが。。。しかし、実際に降り始めた時は何ともいえない脱力感というか、悔しさがありました。まだ空は青いのに、体力に余裕はあるのに、そんな体からの声を頭で律するのもまた登山に欠かすことのできない要素だと思います。いい経験になりました。

今季雪山二戦目にして初の撤退。苦い山行になってしまいました。全行程で約25キロで、そのうち山に入っていたのが5キロほど。あとはひたすらアスファルトを歩く耐えの山行でした。思い返しても道を歩いていた時のほうがよく思い出されます。そんな時でもチラッと見えた常念岳はとても綺麗でもう一度来ようと思えてしまいます。できれば雪のある時にもう一度挑戦したいですね。

それでは次の山で。次はピークを踏みたいな。

蝶ヶ岳山行「歩いて歩いて、ちょっと登って、歩いて歩いた」前編

 

去年の話ですが、長野県は蝶ヶ岳へ行って来ました。岐阜から車で四時間弱。前回の木曽駒ヶ岳に比べるとちょっと遠めです。慣れたとはいえなかなかの距離です。前日が会社の忘年会で相変わらず運転は相棒に任せっきり。いつもお世話になります。

冬季は三叉の登山口までの道が閉鎖されるのでほとんど登る人がいないようで、どれくらいの距離が閉鎖されているかが調べてもわからなかったのでとりあえず行ってみようという事に。実際に行ってみると登山口まで10キロの所で道は閉鎖。入り口に車が一台停まっていたので入られている人がいることはわかるのですが、二人でしばし呆然。10キロ…冬山装備に底の硬い冬季登山靴で10キロ…なかなかです。

でもせっかく来たのだし、時間の許す限り行こうということになりアタック開始!

 

 

普段であれば車でぶーーんと通りすぎてしまう道をじっくり歩いて行きます。途中のチェックポイントは大水沢の滝と延命水。滝はまだ凍っておらず涼しげに流れ落ちています。もう少し寒くなるとこの滝も凍るのでしょうか。そしてそこを登る人がいるのでしょうか。延命水は水が湧き出ているような場所でこちらは所々凍ってつららになっています。夏に来れば見落としてしまうであろう名所を堪能しながら先へ進みます。

 

 

聞こえてくるのは遠くの沢の音だけ。静かな道をひたすら歩きます10キロも…

登山口に近づくにつれ、徐々に雪が深くなってきます。閉鎖口近くは霜のようにうっすら白くなっているだけでしたが、この辺りでは足跡がつくぐらいの積雪に。退屈まぎれにオザケンの歌を諳んじながらひたすら歩いて行きます。いち、にー、さーん、しっ!

 

雪がくるぶしぐらいまで隠すくらいになったあたりで、登山口に到着です!

蝶ヶ岳へ行って来ましたと最初に書きましたが、当初は常念岳へ行く予定でした。しかし駐車したところから登山口まで約二時間半費やし、山地図とにらめっこしながら計算するとどう考えても常念岳山頂までは日のあるうちに帰ってこれない。それよりは常念岳よりも少し行程の短い、蝶ヶ岳にしようということになり、ここから蝶ヶ岳へ入っていくのでした。

後半へ続きます。